映画

『インサイド・マン』という映画を見た本音の感想

映画

スパイク・リーはこれで何を描きたかったんだろうと疑問です。サスペンスとしての面白さなのか、反ナチの姿勢なのか、ディテールやストーリー展開に重点を置き過ぎてしまって、彼の本来持つ社会性が薄れてしまったような気がするんです。

しかしサスペンスには特にディテールが大切で、少しでも描き方で手を抜くようなことがあると、途端に作品そのものが陳腐なものになってしまうんです。その意味に於いては合格点じゃないかなと思います。

トリックとしては特筆すべきものは無いが、人質全員に犯人と同じ恰好をさせたり、クライヴ・オーウェン以外犯人の顔を最後まで見せなかったたりと新機軸とまではいかなくても、工夫は随所に見られるんです。

それよりもデンゼル・ワシントンの刑事とクライヴ・オーウェンの心理戦の方が見事です。クライヴの仕掛けにいいように振り回されているうち、彼らが時間稼ぎをしているのではないかとデンゼルは疑問を抱くんです。

そこに襲われた銀行の創設者クリストファー・プラマーに雇われた金と権力を身にまとった弁護士ジョディ・フォスターが絡んで、事件はさらに複雑な様相を見せ始める。

つまりクリストファー・プラマーはナチスに取り入って成した財をもとに銀行を立ち上げ、その証拠となる書類がリストに載っていない番号の貸金庫に保管してあった。しかしそのことは予め犯人グループは調べ上げており、書類は既に犯人の手中にあった。

この三者の絡み合いが見事で、ここに一人でも格落ちするような俳優が配されると、ストーリーはずくずくになってしまっただろうと予想できます。

私はナチのことをもっとセンセーショナルに扱って欲しかったが、逆にそれは物語のスパイスとしてだけに捉えておいて、サスペンス(心理戦)の方を楽しむべきなのかもしれないです。